地域別環境マネジメントシステムとはなにか

地域別環境マネジメントシステムとは

環境データバンクのISO・エコアクション21・HES審査員の若月です。

今回は地域別環境マネジメントシステムを解説していきます。

1997年、京都で国連気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP3)がありました。

それに端を発し全国に先駆け2001年に京都でKES(京都環境マネジメントシステムスタンダード)が発足しました。
その後、流れは全国に波及し、関東圏、北海道、大阪、兵庫などで同様のマネジメントシステムが誕生し、それぞれの地域の中小企業を中心に認証取得が進んでいます。

【基本構造・コンセプト】

地域別環境マネジメントシステムの基本構造は、ISO14001のガイドラインを参考に作られています。
「中小企業でも取り組みやすいマネジメントシステムである」ということがコンセプトなので、取組内容などは簡素化されて、幾分シンプルなものになっています。
CO2排出量削減、法令遵守、PDCAサイクルの構築に重点を置いていることや、年に1回、専門審査員による審査の実施が必要であるという点に置いてはISO14001、エコアクション21などと共通しています。

【エコアクション21との相違点】

中小企業をメインターゲットにした環境マネジメントシステムといえば、エコアクション21が代表格になりますが、地域別環境マネジメントシステムはエコアクション21とはどのような相違点があるのかについて解説していきます。

エコアクション21につきましては【エコアクション21とは】の投稿で詳しく解説しておりますので、そちらをご参考ください。

相違点① 認証効力の適用範囲
相違点② 認証範囲の違い
相違点③ 維持に要する費用
相違点④ 地域独自の効果、効力

それぞれ詳細をみていきましょう。

相違点① 認証効力の適用範囲

 エコアクション21は環境省が策定するシステムなので、認証の効力は全国に及びます。それに対し、地域別マネジメントシステムの効力範囲は策定している自治体の内にとどまります。地域別マネジメントシステム間では基本構造を共通しており、地域感で差異が出ることは極めて小さいので、信頼性の担保については大きく差が出る分野では有りませんが、経審や入札の加点等のメリットを享受できるのは、自治体の中にとどまるケースが殆どになるかと思います。

相違点② 認証範囲の違い

エコアクション21の認証を受けようとしたとき、その認証範囲は【全組織・全従業員】が基本となります。都道府県をまたぎ、複数の支社、拠点をお持ちの場合はその全てが認証範囲の対象となります。

それに対し、地域別マネジメントシステムはその都道府県に所在する拠点のみでの認証取得が可能です。

例えば、本社所在地が東京の株式会社A 京都支社で認証を受けたいと思った場合、エコアクション21は基本として本社を含めた活動、レポート作成を必要としますが(サイト認証という例外のケースも存在します)、地域別マネジメントシステムではそのまま京都支社のみの認証取得が可能です。

相違点③ 認証維持に要する費用

エコアクション21は、中小企業への取組やすさをコンセプトに上げているため、ISOに比べて費用が半分以下というコストの低さが魅力の一つですが、地域別マネジメントシステムはエコアクション21よりも低い料金で認証取得、維持が可能です。

効力が地域限定ということもあり、エコアクション21よりも金額が低くなることはある意味当然かもしれませんが、事業形態によっては、それでも十分効果的という企業もいらっしゃると思います。
エコアクション21か、地域別環境マネジメントシステムかで迷ったときの判断材料の一つになるでしょう。

相違点④ 地域独自の効果、効力

 全国に多数存在する地域別マネジメントシステムは、ISO14001を基本構造とするという部分は共通するものの、それ以外の部分で特色を有していることがあります。

例1:難易度別にスモールステップが用意されているHES(北海道)

HES(北海道マネジメントシステムスタンダード)では、認証形態が「STEP1」「STEP2」「産廃規格」と、レベル分けされています。

レベル1だと産廃規格よりも更に要求事項が少なく、かなり取り組みやすくなっているのでエントリー時に活用するなど、自社のレベルに合わせて無理なく取組事ができます。
「STEP2」ではよりISO14001に近い実践的な運用が求められるので、強固で骨太な基盤を有したマネジメントシステムを構築することが出来ます。
「産廃規格」では、エコアクション21との相互認証というプロセスを経ることで、優良認定取得のための条件を満たすことが出来ます。こちらについては、また別の機会に解説する予定です。

例2:様々なスモールISO規格を揃えるKES(京都)

KES(京都マネジメントシステムスタンダード)ではISO26000(社会的責任に関する手引)、ISO50001(エネルギーマネジメントシステム)など様々な規格を基に作成した独自のミニISO規格を準備しています。
ISOは複合認証が可能ですが、数が増えるほどにランニングコストは高くなります。ISOとエコアクションをそれぞれ認証することも可能ですが、それぞれ運営母体が異なるため、審査が年に2回以上になってしまうのも組織にとっては負担が大きくなるのに対し、KESで一気に取得、手続きができれば、上記の問題を解決することが出来ます。

以上、地域別環境マネジメントシステムについて解説していきました。

地域別環境マネジメントシステムにはそれぞれにエコアクション21にはない特徴、有用性があるので、認証取得を考えるときに選択肢の一つとしてお考えになられるのも良いかと思います。

ご参考いただければ幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。

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