一般社団法人環境データバンク
行政書士・ISO審査員の若月です。
今回は優良認定を取得する理由について解説していきます。
優良認定を取得すると
「許可期限が5年→7年に延長される」
「金融機関の融資で優遇金利が適用される」
等のメリットがあります。
しかし、多くの事業者は、もっと深い意図を持ち、優良認定を取得しています。
その理由とはどのようなものなのか。
今回は筆者が事業者にとったヒアリングを基に、その内容を詳しく見ていきましょう。
【理由①遵法性の対外的アピール】
企業にとって、法律を守るのは当たり前の事です。
しかし、産廃処理業者にとって法律を守ることにはさらに深い理由が含まれます。
その理解のヒントは、廃掃法の「排出事業者責任」にあります。
排出事業者責任は分かりやすくすると
「事業者が出したゴミは、事業者が責任をもって処理しましょう。困難な場合は、許可を有する事業者に委託してもいいですよ」
というものです。
つまり、いくら処理業者に委託しても、処理責任は排出事業者にあるのです。
一見、ゴミを処理業者に引き渡せば、それで終わりと感じるかもしれませんが、委託したその業者が不法投棄や悪さを働けば、それは排出事業者の責任となるわけです。
つまり、廃棄物処理業者にとって法律を守ることは、自分だけでなく顧客を守っていることにつながります。
法遵守は優良認定取得の前提条件なので、優良認定取得は「私たちは皆さま(顧客)の名誉と信頼を保証します」というアピールにつながるのです。
【理由②不毛な価格競争を回避する】
しかし、廃棄物の処理に関しては関心のない方がほとんどなのではないでしょうか?
必要がないから廃棄するのであり、「捨てられればなんでもいい」と感じるのはある意味一般的な発想です。
それに、不要な物を処理するのだから、できるだけお金がかからない方が良いというのが本音なのではないでしょうか。
廃棄物処理業者の中には格安の料金で処理を請け負っている事業者もいます。
排出事業者からしてみれば、そういった方のサービスが一見魅力的に映るかもしれません。
しかし、裏でもし彼らが法に背く行為を働いていた場合、責任を取るのは排出事業ということになります。法律を守ることが顧客を守ることにつながるというのは、先に述べたとおりです。
※もちろん多大な企業努力により低価格を真っ当に実現している事業者もいらっしゃいます。
まっとうな仕事をしているのに、そのような方との価格競争に巻き込まれるのはとても不毛なことなのでは無いでしょうか?
優良認定を取ることの意味は差別化にあります。
サービスの質をアピールするのに、優良認定は大きな効果を発揮します。
そういった経営上の問題を回避するために、多くの事業者が優良認定を活用しています。
【理由③正しい顧客と正しいお付き合いをする】
また、逆のケースも考えられます。
排出事業者が「ごみは捨てられればなんでもいい」と考えていても、「法律の意識の高い顧客と取引したい」と多くの処理業者は考えています。つまり、処理業者も顧客(排出事業者)を選びたいのです。
法外な価格の処理業者との苛烈な価格競争に巻き込まれ、消耗した社員が不法投棄を働いたり、事故を起こしてしまうといったことはよく聞く話です。
そういったリスクを避けたいのは当然のことです。
とにかく安ければよいという気持ちが、法律を守る意識を上回ってしまっている人に、先に述べたリスクを理解してもらうことは困難です。
遵法意識の高い企業は、廃棄物処理の際には当然優良認定取得事業者に委託します。
法律違反の高いリスクを理解しているからです。
それに比べると、価格よりも安全性で判断するのです。
優良認定を取得する事業者の多くは真っ当な仕事を提供し、真っ当な取引先と真っ当なお付き合いをしたいと考えているようです。
以上、今回は優良認定を取得する理由について解説してきました。
多くの事業者が、堅実な理念の基、優良認定を取得していることがわかると思います。
組織の健全な発展のために、皆様も優良認定取得を考えみてはいかがでしょうか?