ISO14001とはなにか

環境データバンク ISO14001・9001・エコアクション21審査員の若月です。

今回はISO14001について解説していきます。

ISOは、マネジメントシステムの国際規格になり、様々な種類がある中で、ISO14001は環境分野に関する【環境マネジメントシステム】を認証する規格になっております。

【背景とコンセプト】

1980年~1990年代は、先進国各国が目覚ましい技術革新を遂げる中、その陰では環境破壊が深刻化し、大きな問題として注目され始めていました。

そのような社会的背景を受け、人類生存のための「持続可能な開発」を推進するため、1996年に発足したのが、ISO14001環境認証規格になります。

元々はCO2削減に寄与する活動、つまりは使用エネルギーの削減、排出する廃棄物の削減などを評価し、認証するようなものでしたが、2015年にガイドラインが改定になり、「社会経済的ニーズとバランスを取りながら、環境を保護し、変化する環境状況に対応するための、体系的な枠組みを組織に提供する」ことをテーマに掲げ、経済活動と整合させるという方向性に変わりました。

ただ単に使用エネルギーの削減や廃棄物排出の抑制を図るのではなく、現在の事業活動にどのような工夫、アレンジを加えれば事業と環境活動を整合することができるのか。そこを追求していきましょう。という内容になっております。

現在、国内にはエコアクション21を始め、様々な環境マネジメントシステムが存在しますがその筆頭がISO14001であり、巷にある環境認証システムはISO14001の基本構造をアレンジして作られているものが大半です。

【ISO14001のメリット】

続いて、ISO14001の取組メリットについて解説していきます。

メリット① 第三者認証による信頼性・企業イメージの向上
メリット② 環境マネジメントシステムを活用したリスク管理
メリット③ 入札や経営事項審査で加点、優良産廃処理業者認定の要件クリアなど、業界独自のメリットが存在している
メリット④ 環境活動の促進による従業員の環境への意識の向上

これらメリットを享受するには、構築した環境マネジメントシステムをしっかりと活用することが重要になります。

それでは、それぞれのポイントを解説していきましょう。

メリット① 第三者認証による信頼性の向上

 各国にISOの認証を与える専門の組織が存在します。

その組織が与える認証を受けることで、一定の水準を満たした企業であることが認められます。
ISOの認知度は他の認証システムに比べ群を抜いて高く、国際規格でもあるので、コンプライアンス意識の高い大企業が取得することが多いです。

メリット② 環境マネジメントシステムを活用したリスク管理

ISO14001は、法律遵守に力点をおいたシステムと言うことが出来ます。

数多ある環境法令は改正も多く、ふとした拍子に違反状態が検出されることが多い分野です。
ISOでは遵守事項の取りまとめが要求されるため、毎年の遵守評価をルーティン化することが可能です。

また、年に1度、専門審査員による審査を受ける必要があり、毎年研修などで知識をアップデートしている審査員から助言をもらうことで、環境法令の改正に対応していくことも可能です。

 もう一つ、ISO14001は要求事項の中で、緊急事態の想定と対応体制の構築を要求しています。緊急時の対応を明確にしておくことで、アクシデントの発生防止や被害の拡大を食い止めることに繋がります。

メリット③ 入札や経営事項審査で加点、優良産廃処理業者認定の要件クリアなど、業界独自のメリットが存在している

建設業においては、入札や経営事項審査時の加点になり、優良産廃処理業者認定を受ける際にはISO14001等の認証が必須になっているなど、それぞれの業界におけるメリットが定められています。
金融機関によっては金利優遇など融資の際の特典を受けられる機関もあり、各種補助金の採択選考の評価対象になったりと、ケースによっては実用的なメリットを享受することが可能です。

メリット④ 環境活動の促進による従業員の環境意識の向上

ISOの取組の中で、環境方針というものを掲げ、それに基づき目標、計画を作り、活動を行います。

環境活動の実践、振り返り、取組の数値化、審査対応などを継続することにより、社員の環境への意識を向上させることが可能です。

【ISO認証の流れと注意点】

次にISO14001の認証の流れと、注意点を解説していきます。

~認証の流れ~

 認証取得を決断
   ↓
フレームワーク構築、スケジュール設定
   ↓
環境活動実施(目安1年)
   ↓
結果の取りまとめ、振り返り
   ↓
審査申し込み
   ↓
審査受審
   ↓
認証取得。翌年以降、活動を継続


大まかな流れは以上になります。

認証取得までの準備期間は1年半以上は確保することをおすすめします。

注意ポイントは、審査機関をどこにするか、ということです。

ISOの審査を提供している審査機関は全国に複数存在しています。

それぞれ外資系、業界特化、地域特化など、組織によって特徴を有しており、審査機関を選定する際のポイントになります。

それだけでなく、審査に要する費用も組織によってばらつきがあるので、初回認証を受ける前に、各審査機関を比較検討することをおすすめします。

以上、ISO14001について解説をしました。

ISOは全環境認証システムの中でも審査費用が高額で、取組内容も複雑な側面がありますが、認知度が高く、社会的信頼の向上における効果も最も期待できるシステムとなっております。

ご参考いただければと思います。

最後までお読みくださり、ありがとうございました。

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